
バオバブブックス
電子書籍専門出版


それでも、やはりここは行くしかないのだ。
太鼓の音が、アフリカの音が私を呼ぶのだから。

90年代に人気を博したワールドミュージック。その発端になったのが『パパ・ウェンバ&ビバ・ラ・ムジカ』である。アフリカはもちろん、彼らの活動拠点のパリから全世界に渡って活躍していた。この超有名バンドのメンバーに、実は日本人女性が在籍していたことはあまり知られていない。
それが本書の筆者・奥村ケイコ。20歳の頃から大好きな太鼓の音に誘われて、南米をはじめキューバ、アメリカを放浪。日本に帰ったときにたまたま訪れたのが、『パパ・ウェンバ&ビバ・ラ・ムジカ』の東京青山のライブだった。アフリカの野性味あふれるサウンドと迫力、さらに最近注目を集めるブラックアフリカンが、とびきりのファッションに身を包む「サップ」の元祖でもある彼ら。そのライブを目にした彼女は、探していた心に響く音楽を見つけることができたと直感する。
そして、ちょうどシェケレ(ひょうたんにビーズを打ちつけて音を鳴らす民族楽器)を持って来ていた彼女の取った行動は……。
――しかし、ステージにいきなり飛び入りというのも無鉄砲すぎる。やっぱり、相手に了解を得た方がいい。
今がチャンスだ。思いきってパパにいうのだと思い、勇気を振り絞って、一部終了後の休憩に入るところのパパをつかまえて、「私、シェケレやる人。私、あなたと一緒にやる。それ、いいか?」 と、ゼスチャーを交えながらフランス語のつもりで話しかけたが、
パパは一瞬キョトンとし、私の目をジーッと見て
「ウイ」とうなずいた。
しかも本書には、ブルキナファッソの世界的バラフォン奏者ファラフィナ・リリの住む村まで行って、ピースフルな村人たちがファラフィナの音に興ずる姿などを映したムービー(13分)も収録。さらにはパリの『パパ・ウェンバ&ビバ・ラ・ムジカ』のライブの貴重な映像(15分)も見ることができる。まさにお買い得の電子書籍、これを買わんでどうするの1350円!